出生前遺伝学検査(NIPT)について
(医師向け)
当院では平成27年11月2日より無侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT)を開始いたしました。本検査の概要についてご説明いたします。
対象
この検査は下記の条件のいずれかを満たす妊娠9週以上の患者さんに限定して行われます。
2020年7月より妊娠週数の上限はなくなりました。
2022年4月より下記の条件に変更になります。
(1) 出産時妊婦さんが35歳以上
(2) 染色体数的異常を有する児を妊娠した既往のある方
(3) 母体血清マーカー検査で、胎児が染色体数的異常を有する可能性が示唆された場合
(4) 両親のいずれかが均衡型ロバートソン転座を有していて、胎児が13トリソミーまたは21トリソミーとなる可能性が示唆される場合
(5) 超音波検査で、胎児が染色体数的異常を有する可能性が示唆された場合
(6) (1)~(5)には概要しないが、十分な遺伝カウンセリングを実施しても受検を希望される場合、カップルの意思決定が尊重される
原理
母体血液中には、胎盤から漏れ出てくる胎児由来のDNAが母体由来のDNAの10%位の濃度で混ざっています。この検査では、母体血液(血漿という成分)を流れる胎児DNAの断片を分析します。1000万以上のDNA断片が、どの染色体に由来しているかをDNA塩基配列から決めていき、DNA断片の何%が、特定の染色体、例えば、21番染色体に由来しているかを計算します。たとえば胎児が正常核型の場合には21番染色体由来のDNA断片はDNA断片全体の1.3%になりますが、胎児がダウン症の場合には、1.42%になります。このようにして胎児に染色体疾患があるかどうかを検出します。
検査に必要なのは母体の血液(20cc)のみです。この検査で検出できるのは、21トリソミー症候群(ダウン症候群)、18トリソミー症候群、そして13トリソミー症候群(出生頻度順に記載)の3つの染色体の数的異常症のみです。その他の染色体疾患や遺伝子異常の検査はできません。
これら3つの染色体疾患が占める割合は生まれてくる胎児の染色体異常症全体の2/3程度であると考えられています。均衡型転座や不均衡型転座などの染色体の構造異常については検査できません。
条件
- 検査前に必ずご夫婦で遺伝カウンセリングを受けていただきます。
- 妊娠8週0日以上、胎児心拍がある方は予約することができますが、検査は妊娠9週からとなります。また、検査日の時点で胎児心拍が確認されない場合、検査は中止となります。
- 検査後の出生児調査にご協力下さい。
- 本検査で異常を指摘され、羊水検査等において異常が判明した場合、分娩後児の状況を出産された病院·医院に問い合わせをさせていただくことがあります。
予約方法
1. 当院で妊婦健診をしている妊婦さん
予定日決定までに直接外来担当医にご相談ください。別日に遺伝カウンセリング外来を予約致します(夫婦同伴)。
2. 当院で妊婦健診をしていない妊婦さん
妊婦さんからの直接の予約は受け付けておりませんので、担当医の先生から当院地域連携室へのFAXをお願い致します。『FAX診療申込書』と『紹介状(診療情報提供書)』は下記からダウンロード後,プリントアウトしてください。お取りした予約日、時間は担当医の先生にお返事させていただきます。
お問い合わせ
FAX:0853-20-2063 (平日9時から17時まで)
「FAX診療申込書(NIPT検査)」をダウンロードする(PDF:78kB)
お問い合わせは TEL:0853-20-2061 まで。
以下の注意点もお読みください
検査費用:約10〜15万円(当日支払い,カード払い可)
カウンセリング料は別途になります(初回1万円、2回目以降は1回につき5千円)
検査結果には約2週間を要します。検査結果説明はご夫婦で来院してください。
来院時には、外来予約票、紹介状、保険証をお持ち下さい。受診受付時間は下記の通りです。
産科受付:月曜日から金曜日 時間:9時から11時
遺伝カウンセリング:月曜日から金曜日 時間:随時。
紹介をしていただく医療機関の先生へ
大変お手数をおかけしますが、検査希望妊婦さんからの直接の予約は行っておりませんので、上記の検査適応を十分に確認していただき、当院へのFAX予約と紹介状の作成をお願いいたします。産科診察予約日をこちらから先生宛てにFAXさせていただきます。産科診察と遺伝カウンセリングは同日行うよう調整いたします。ただし予約日・時間に関しましては患者さんのご都合を考慮できない場合がありますことをご了解願います。また受診時心拍がない場合は検査ができないことをご承知おきください。検査結果に異常があった場合、当院で確定検査を行います。また、確定検査でも染色体異常があった場合、基本的には当院での分娩をお願いすることになりますが、貴院にて分娩される場合、患者さんが持参される経過報告書にご協力をお願いいたします。また、検査を受けられたすべての方について後日問い合わせさせていただくこともあるかと存じますが、何卒よろしくお願い申し上げます。